リーク

 

玄関で寝転がって、天井を見上げていた。何も気力が湧かなかった。灰皿を手繰り寄せて、寝転がったまま煙を吐く。体は動かないし、心は腐っていた。床がやけに冷たく感じた。

 

 

不眠症なのか、先週はうまく寝れない日々が続いた。頭痛がひどく、立っているのがやっとだった。炭酸ジュースが、やけに美味く感じる毎日だった。実験はなんどやってもうまくいかなかった。本当に「くそったれ」だった。「やれやれ、、」であった。「疲れてしまった」

 

 

実験室は、いつも変な匂いが漂っている。油と薬品、湿った布、乱雑する工具、エンジンが動くたびに、銃声のような轟音が響き渡る。限りなく不愉快な空間が、今、自分の生活の全てである。慢性的な疲労、射精したところで、全く吹き飛ばない、目の前のモヤモヤ。モヤモヤ。釈然としない気持ちを抱きながら、一人もやしを食べる。味がしない。金がない。話しかけてくる女はいつも裸。

 

 

インターンエントリーシートを書いた。真面目に書いた。一人部屋で、スーツを着て、自分のやっている研究の説明動画を撮った。ひどく虚しく、疲れる作業だった。雨がザーザー降っていた。誰もいなかった。便所でギターを弾いた。やっぱり誰もいなかった。裸の女が、笑っているだけだった。裸の女が、喘いでいるだけだった。ことが終わると、女がひどく薄汚いバケモノに見えた。バケモノは嗤っていた。「あんたって人は、本当に、惨めね」。俺は嗤った。一緒になって、嗤った。。誰も何もいない空間で、一人、笑い続けた。本当に惨めだった。自分がゴキブリと同等の、汚い存在に思えた。

 

 

シャワーを浴びて、ベットに寝転がった。不安は消えていた。全ての感情が死んでいた。枕の柔らかな毛糸が、心地よかった。今日こそは眠れると思った。目をつぶった瞬間、どうしようもなく憂鬱になった。また、朝が来た。頭が痛かった。

 

 

 

いつの間にか6月が終わっていく。