渦の中

六ヶ月マッチングアプリをやって会えたのは3人だけだった。どうしたってもう何も言い訳ができないほどに、自分には価値がないないことが証明された。最後に会った女はじゃが芋みたいな顔をした太った女だった。女は、安っぽくて甘ったるい、最低な匂いを漂わせながら、「昔マンドリンをやっていたんです」と言った。カウンターの中でいちゃつく店員、マフィアの血でも混ざっていそうな蒸留酒と、のびたパスタ。俺はイライラしていた。隣に座っている女を蹴り殺してやりたかった。「お前はなんで生きている!」と耳元で叫んでやりたかった。殺してやりたかった。春の風が吹いていた。ベビーカーを押しながら笑い合う自分よりも歳が若そうな夫婦。人生はデキレース。初めから全てが決まっている。そんな気がしてならない。こんなかっこ悪い25歳になっていると思わなかった。もっと活き活きとして、キラキラとした大人になれると思っていた。

OLちゃんのブログが消えていた。いつも何かにイライラしていたOLちゃんだったが、最近は特にご乱心で、正直俺にはもう理解できない不幸の次元に達していた。もう5年くらいは読み続けた気がする。新聞を読むのとおんなじ感覚で、毎朝OLちゃんのブログを読んでいた。面白いとか面白くないとかじゃなくて、無意識の習慣になっていたと思う。俺は他人の書いたブログや日記の類を読むのが大嫌いで、十把一からげで本当にくっだらねぇなぁと思っているのだが、なぜかOLちゃんのブログは読めた。また書いて欲しいとも思わないし、こんな場所に戻ってこないで、幸せになって欲しい。毎日を這い蹲りながら、泥臭くも必死で言葉を紡ぐ君は素敵だった。バイバイ!!!

さて、最低と最悪の渦の中で、今日も歯を食いしばって立ち続ける。今年のテーマは「ガラパゴス化」。如何にかこうにか、騙し騙しで生きていこう。それでいい。嫌になったら逃げればいい。