2021-09-01から1ヶ月間の記事一覧

メイド

社会人になった笹尾くんは、なにも変わっていなかった。といっても、最後に会ってから、二ヶ月しか経っていないのだから、当たり前と言えば、当たり前である。秋に社会人になった笹くんは一癖も二癖もある人間なのだが、彼に関しては、他にまた書こうと思う…

もはや歯を磨くごとき習慣に成り果てた一人ヌキヌキ作業を終え、後架にちり紙を捨てに行く。汚物を勢いよく投げ捨て、痰を吐いたのち、「死ね!」と便器に向かって無意味な言葉を添える。 今日は祝日だというのに、朝から研究室に行った。9月の終わりとは思…

本を読む

何のためらいもなく、Tシャツの袖をまくりあげ、横を向いた俺に、看護師のおばさんんは、一瞬、不思議そうにキョトンとした。注射の後に、15分ほど、広間で待たされた。坊主頭の精悍な医者が、モニターの中で副反応の説明をしていた。本を読む者、携帯を眺…

たまには昔話でも

彼と初めて会ったのは、3年前の春先だった。サークルの新入生会にやってきた彼は、明らかに他とは違う、禍々しいオーラを放っていた。メガネをかけ、エラの張った顔、小学生がシャーペンで適当に書いたかのような名状しがたい平均的な髪型、恰幅のいい体、ど…

夏でもなく秋でもない訳のわからない季節に悪態をつきながら、部屋の掃除をして、洗濯をして、買い出しをした。特にというか、本当になにもなく休日が終わってしまった。 それはそうと、最近、小・中学生ぐらいの時に聞いていた、2000年代Jpop/jRockがめちゃ…

hard to concentrate

帰り道、傘をささずに自転車を漕いでいたら、女子高生集団に爆笑された。ずぶ濡れ、メガネは曇っていて、Tシャツ一枚、彼女らは雨の中笑っていた。なぜか人間は、自分より弱いものを見て、笑う。 昨日は朝からWebインターンがあった。名古屋大院で化学を専攻…

リボルバー

日が落ちて、雨の中、煙草を買いにコンビニへ。道端で、立ち話をする高校生の男女。水玉模様のアンブレラ、肩に回された腕、白い首筋、早くなった黄昏、ひんやりとした空気、車のヘッドライトが彼らを照らし出す。 完全に寝不足で迎えた金曜日。毎週、金曜の…