うっすいカツ

 

夕焼けは太陽が沈む時に空が赤くなる現象で、小焼けは太陽が沈んだ後に空が赤くなることをいうらしい。仕事帰りに電車の中から見る空の色は、子供の時に友達と遊んだあとに見た空の色に似ている。「今日の晩飯なんだろう」とサッカーボールを蹴りながら、弟と一緒に公園を後にする。できたての揚げ物、コップに入れた麦茶を一瞬で飲み干して、もう一度注ぐ。親父が缶ビールをあける。時速36km、「夢を見ている」を聴きながら、流れていく夕焼け小焼けをぼんやりと見つめていた。

最近、嬉しかったことは、レッチリのライブに当たったこと。youtubeにあげた演奏動画に外国人が「omg this is sooo beautiful I love your cover!! Thank you❤️」とコメントしてくれたこと。仕事終わりに空を見る余裕ができてきたこと。

一年働いて200万貯めた。女も友達もいないので、金だけは溜まる。休日の昼に寝間着のままコンビニに飯を買いに行く時にたまに悲しくなる。おんなじように、コンビニきている人間は、ずっと日陰で生きてきたような、暗い目をした奴らばかりだ。チビだったり、デブだったり、ハゲだったり。。。コンビニで買った大盛りのペペロンチーノは不味くて、油まみれで、下品な味がした。俺たちが一体君たちに何をしたというのだろうか。ただ生きているだけなのに忌み嫌われる。どうしても最後の一口が食べれなくて、そのままゴミ箱に捨てた。

平日の昼飯は、会社の食堂で食べている。500円もするくせに、大して美味しくなくて、そのくせ、配膳してくれる厨房のおばさんや姉ちゃんたちの愛想がない。たまに、麻婆まぜそばみたいな、ちょっと変わり種の飯が出るが、大半が、うっすいカツ、パンチのないラーメン、スキー場のカレーといったかんじ。朝と夜は寮の食堂。こちらは2食で500円と破格の安さなので文句はない。美味しくはないが、厨房のおばさんたちは元気なので、まだ救いがある。マジで最近思うのだが、暗い人間に幸せは絶対にやってこない。だからと言って元気に振る舞おうとすると自分が死んでいく。

柔らかい風が吹いている。春のかぜだ。お腹をいっぱいにしたあとの、外の空気は本当に気持ちが良い。ゆっくりと歩きながら少し体を伸ばす。もういいなぁ〜この人生。

 

https://youtu.be/lwXoi5sTPqI?si=j5T7N5TadpQYXMXO