自転車を漕いでいた。少しだけ汗をかいた。過ぎていく光景。桜が、うららかな春の風に揺れていた。ミニスカのお姉さんが、カゴのない僕のチャリを見て、笑っていた。ブックオフを探索したが、目当ての本は見つからず、自販機で100円のメロンクリームソーダだけを買って、家に帰る。
とりあえず、第一志望の会社から内定をもらえたので、就活を終えた。来年は関西に。ここで過ごす最後の一年になる。
毎日、一人で面接練習をやっていた。一人でzoomのルームに入り、白い壁に向かって何度も挨拶をし、地味すぎる作業を繰り返した。弟に面接相手をやってもらったりもした。最終面接は少し緊張してしまったが、まぁ何とかなった。
普通に就活をした。対策を練り、それなりに時間をかけた。そして受かった。それだけである。他にも保険で3社受けていたが、辞退するつもりである。ずっとニコニコしているバカみたいな学生もいたし、高圧的な面接官もいたし、クソみたい気持ちにも、少しはなったが、思ったよりも大したことなかったなというのが正直な感想。少なくとも、意中の相手に、何をしても全く見向きもされないよりかは、対策がはっきりしているぶん何倍も、楽だった。
親戚のおじさんが、セミオーダーメイドのスーツを買ってくれた。入学してから、ずっとお世話になっている優しいおじさんである。「昨日のことのように思い出せるのに、もう5年も経ったんですね〜」。雨の中、車を走らせながら、おじさんは、そう呟いた。
それ以外はずっと研究。テロリストのパラソルという小説が面白かった。
では。