一週間前ほどの話になるが、ようやく院試が終わった。運よく、推薦の枠に入ることができ、口頭試問という簡単な面接のみだった。今週中に結果通知が届く予定である。
自分が、今研究しているのは、プラズマによるメタン改質というもので、簡単に言えば、エンジンに用いられる天然ガス(主成分がCH4)の燃焼特性や排気を、プラズマを用いて向上させようというものである。
最初は、大して興味もなく、仕方なく始めたこの研究であったが、やりだしてみると、わずかではあるが楽しくなってきた。
というのも、研究活動は、学部の座学や実習と違い、テストや成績という概念がないため、勉強をのびのびとすることができる。自分は、昔から、勉学が楽しいと思う瞬間は、テストでいい点数を取ることではなく、現象や、数式の理解にあった。
17歳の夏休み、陰気な友達と、誰もいない教室の黒板に書いた数式を今でもたまに思い出す。周りの奴らが恋して、セックスして、大声で笑っている中、俺たちはただ、黒板に、数式を書き続けた。
数学でも、いちいち、定理を完璧に証明しないと、その数式を使いたくなかったし、物理でも、実生活における現象に落とし込まないと、なかなかしっくりできなかった。
根っからの、理系だと思う。だが、それでいて、根っからの文系でもあると思う。俺のアイデンティを一つ挙げるとすれば、そこなのかもしれない。
話は変わるが、最近、聞き始めた音楽のジャンルがある。それは、ヒップホップである。
今まで、そのおちゃらけた雰囲気が不快で、食わず嫌いを続けてきたが、いざ聞いてみると、虜になった。
ヒップホップはビートが単調なぶん、リリックが心にスッと入ってくる。言葉の偉大さに気づく。
お気に入りのヒップホップの曲をいくつか紹介しようと思う。
イカツイ兄ちゃん達だが、吐く言葉は、実に繊細で、芸術的だ。この曲は、さらに、ビートが最高にカッコよくて、トリップしたかのような感覚になる。億は位、奥は暗い。時間は奪えど心は奪えない。こんな美しい夜は二度とは来ないかもしれないから。
不可思議/wonderboy - Pellicule (Official Video)
事故で夭折した、夢明ラッパー。ポエトリーラップというジャンルらしい。この曲もビートがいい。俺は、どんなにリリックが良くても、ビートが良くないと、好きになれない。ヒップホップである前に、音楽であると思う。
「笑ってるけど悲しい目」、がすごい刺さった。給料日に博打もう飲まねぇ、聞き飽きたセリフもうNo money
GOMESS - Poetry (OFFICIAL MUSIC VIDEO)
「久しぶり元気、なんて言ってみたかったよ。お前がいなくなってから、寂しいよほんとに」
切ない。
雷がすごく近くで鳴っている。雷もプラズマの一種なんだよ。明日は、あの子に会えるかも。